父の思い出 ～お父さんに伝えたいこと～
今週のお題「お父さんに伝えたいこと」
こんにちは。
私の父は、54歳の時に亡くなりました。
私が、25歳の時です。
私が就職したばかりの18歳の時に、脳梗塞で倒れて
長い闘病生活の末、亡くなりました。
そんな父でも、色々と思い出はあります。
父は楽しいこと、新しいことが大好きでした。
旅行も好きでした。
ある日、父はマイクロバスを一台、買ってきました。
家族（母と私たち三姉妹）を乗せて、旅行に行くためです。
小学校の高学年の時、父のバスで南紀白浜に行きました。
私は、バスの一番後ろの窓ぎわの席が気に入っていました。
窓の外には、知らない町が見えます。
バスから見た町はおもちゃの家のように見えて、とても不思議
でした。
海辺にバスを停めて、バーベキューパーティーをしました。
海で泳いで、夜はバスの中で寝ました。
マイクロバスでの家族旅行は、とてもとても楽しかったです。
今でもマイクロバスの旅は私の一番の楽しかった思い出です。
父は料理人で、実家では料理店を営んでおりました。
珍しい食材が手に入ると、私に見せに来ました。
当時、私は中学生でした。
父「これは、なかなか手に入らないんだぞ。」
と、生簀に入った、すっぽんを見せられました。
私「この亀なに？飼うの？」
父「すっぽんや。食べるんや。」
私は、生きたすっぽんなど見たことがありませんでした。
今は珍しくないかもしれませんが。
私はすごく、びっくりしました。
私「これ食べるの？」
父「病気の人に食べさせると治るんやぞ。」
私「美味しいの？美味しいなら、私食べたい！」
父「食べさせてやるで、待っとれ。」
と言って、すっぽんを調理し始めました。
すっぽんの頭を鉈のような包丁で、ビタン！と切り落とし
ました。
私は、ヒー！！！！！と思い見ていました。
すっぽんは父の手によって、鮮やかに分解されていきます。
怖いもの見たさの私は、一部始終を見ていました。
心臓が取り出され、動いていました。
父「心臓だけで動くんや。だから、病気の人に効くんや。」
と言いました。
すっぽんは、頭を落として逆さ吊りにして血を抜きます。
頭のないすっぽんが、広い厨房の真ん中で逆さ吊りになって
います。
そしてその先から血が滴り落ちています。
すっぽんの血は大きい器に受け取られています。
私は、さらにヒー！！！！！！となりそれを見ています。
皿に血だまりが出来ています。
血に焼酎を混ぜて飲むそうです。
父「これは大人の飲み物やからな。お前も飲むか？」
と血だけを差し出しました。
私「・・・・・・いらない・・・・・」と、拒否。
父「ハッハッハ！鍋にして食わしてやるで、待っとれ。」
そう言って、鍋にして食べさせてもらいました。
正直、美味しかったかは覚えていません。
強烈な体験でした。
もうひとつありました。父との思い出。
中学生だった私は毎日部活で疲れていて、晩ご飯を食べた後、
よくお店のこたつでそのまま、寝てしまいました。
お店が終わると、寝ている私を起こさないようにお姫様だっこ
で、寝室まで連れて行ってくれました。
当時私は太っていて、結構な体重（52キロ位）あったのにも
かかわらず…。
眠りながら、父が私を起こさないように気を使ってくれている
のが、そーっとした持ち上げ方や、歩き方に表れていました。
私は寝たふりをしながら、気持ち良かったのを覚えています。
お父ちゃん、重かったろうな…。
ありがとう。お父ちゃん。
父との思い出は旅行のほかには、やはり食べ物です。
一度だけ二人だけで、お寿司を食べに行きました。
もうすぐ就職する、ちょっと前のことです。
父「寿司食べに行くか。」
私「うん。」
そうして入ったお寿司屋さん。
父は、私のために中トロを頼んでくれました。
この中トロの美味しかったこと✨✨✨
私「美味い！！！なにこれ？すっごく美味しい！！！！！」
父「うまいやろ。いっぱい食えよ。」
当時、18歳だった私は、中トロなど食べたことがありません。
父は、とても嬉しそうでした。
もうすぐ、就職して都会に出て行ってしまう娘に、食べさせて
あげたかったに違いありません。
高価で美味しいものを食べられるようになった今でも、
後にも先にもあんなに美味しい中トロには巡り合って
いません。
あまり、一緒にいられなかった父との大切な思い出です。
「楽しい思い出をありがとう。お父ちゃん。」
