本当はすごく良い人。耳いたい事を言ってくれる人は得難い人。~会いたい人~

今週のお題「会いたい人」

 

こんにちは。

 

昔、一人暮らしをしている時、喫茶店でアルバイトをしていました。

 

そのアルバイト先の喫茶店のママさん(私とママしかいなかった)が少し厳しく、眼光も鋭くて、内心「怖いなぁ」と思っていたのです。

 

茶店がある建物の中に、別の厨房がありました。そこで働いているおばさんが一人いました。

 

そのおばさんは見た目も可愛らしく、私はランチ前の仕込みの時刻になると、ママさんに頼まれて、そのおばさんのいる厨房に毎日決まってお米を貰いに行っていたのです。

 

息抜きにそのおばさんと色々話しました。

 

私がおばさんに「今日忙しくて疲れた…」と言うと「少しここで休んでいくと良いよ。」と言ってくれました。

 

私は、そのおばさんにすっかり心を許してしまい、少し怖くて厳しいママさんの愚痴を少しづつ言うようになったのです。

 

私:「ママさん、ちょっと喫茶店の窓ガラスの拭き方が甘いとダメだしするの…。」

 

おばさん:「そうなんだ、少しぐらい汚れが残っててもいいのにね。どうせ汚れるんだし…。」

 

私:「ママさん、料理を早く持って行かないとダメだしするの…。」

 

おばさん:「そうなんだ、少しくらいお客を待たせてもいいのにね。」

 

こんな調子で毎日、おばさんに愚痴を言っていました。

 

そんなある日、ママさんがこう言いました。

 

ママさん:「あのね、あなたが私の愚痴を言うのはかまわないよ。でも、あの人(おばさん)はあなたが私の悪口を言っていると、私に言ってきたのよ。だから気を付けてね。」

 

いつもの厳しいママさんとは違い、私を気遣うかのような口調で、優しく言ってきたのです。

 

私はものすごくショックでした。

 

おばさんに裏切られたと感じました。

 

あの優しそうなおばさんが、私の愚痴をママさんにチクっていたのですから。

 

両親や祖父母に愛情たっぷりに育てられ、高校卒業したての田舎から出てきた私にとっては、生まれて初めて、他人の冷たさ、怖さを知った瞬間でした。

 

それと同時に、ママさんに申し訳ないという気持ちが芽生えました。

 

あのおばさんが私に言ったことは、今思えばろくでもない事ばかりです。

 

それから、そのおばさんのところにお米をもらいに行っても、あいさつをするのみで、何もおしゃべりをしなくなりました。

 

その頃から、厳しいと思っていたママさんの見方が少しづつ変わってきました。

 

ママさんは、私がお客様のスーツにアイスコーヒーをこぼしてしまった時も、何も言わずクリーニング代金を払ったうえで、その場にいたお客様のお連れ様(5人いた。)の分までコーヒーをタダにしてくれたこともあります。

 

お客様が私のお尻をふざけて触った時は、ママさんは烈火のごとくそのお客様を叱りました。「やめて下さい!大事な娘さんをあずかっているのです!」と。

 

普段はお客様を神様のように扱うママさんです。私はびっくりしたと同時に、嬉しかったのを覚えています。

 

 私は半年間その喫茶店でアルバイトをしました。

 

就職先が決まり、喫茶店のアルバイト最後の日の事です。

 

ママさんが「さみしくなるな~。がんばってね。」と、小さなかわいらしい花束を私にくれたのです。少し目を潤ませながら…。

 

その時、喫茶店の仕事には厳しいママさんが、本当はいかに私のことを思っていてくれたのかがわかりました。

 

ママさんは、上京したての田舎娘に接客の大切さと仕事の厳しさを教えてくれました。

 

ママさんは、私の「会いたい人」のひとりです。

 

 

 

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